胆道癌の遺伝子異常と検査(FGFR2) 胆道癌 胆道癌における適切なFGFR2融合遺伝子の診断と治療 2021/5/21作成(2024/3承認)再生時間08:19ペマジールの投与をスムーズに開始するには、標準治療である化学療法の効果が不十分な場合に備え、手術又は鑑別診断時、あるいは化学療法施行前のできるだけ早い段階からFGFR2融合遺伝子の診断を準備しておくことが重要です。FGFR2融合遺伝子診断のための胆道癌における検体作製手順とポイント 2021/5/21作成(2024/3承認)再生時間09:54ペマジールを処方する際には、コンパニオン診断であるFoundationOne® CDx がんゲノムプロファイルに検体を提出し、FGFR2融合遺伝子の検査を行う必要があります。検体の取り扱いによって品質に差が生じ、誤った結果がもたらされることがあります。正しい検査結果を得るには、検体を適切に作製、管理することが重要です。※※参考:FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイル検体作製ガイドFoundationOne® CDx がんゲノムプロファイルについての詳しい情報は以下のサイトをご参照ください。https://chugai-pharm.jp/pr/npr/f1/f1t/test/speci/(2024年5月時点)FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイルに関するお問い合わせ先は中外製薬株式会社になります。胆道癌の遺伝子異常胆管癌における遺伝子異常(海外データ)ゲノム解析の進歩に伴い、胆管癌においても遺伝子異常の解析が進められています。肝内胆管癌で多く認められる遺伝子異常としては、IDH1、BAP1、FGFR2、肝外胆管癌で多く認められる遺伝子異常としては、KRAS、SMAD4、TP53、STK11が報告されています。■肝内胆管癌で多く認められた遺伝子異常n(%)遺伝子肝内胆管癌 (n=158)肝外胆管癌 (n=37)IDH146(29.1)2(5.4)BAP130(19.0)0FGFR220(12.7)0■肝外胆管癌で多く認められた遺伝子異常n(%)遺伝子肝内胆管癌 (n=158)肝外胆管癌 (n=37)KRAS11(7.0)14(37.8)SMAD48(5.1)11(29.7)TP5328(17.7)18(48.6)STK111(0.6)4(10.8)【対象・方法】2014年7月から2年間で組織学的に胆管癌と診断された患者195例(肝内胆管癌158例、肝外胆管癌37例)から得た腫瘍組織を用いて、MSK-IMPACT検査により410のがん関連遺伝子を網羅的に調べ、臨床的特性と遺伝子異常との関連性をFisherの正確確率検定により評価した。Lowery MA, et al. Clin Cancer Res. 2018; 24(17): 4154-4161.より改変FGFR2融合遺伝子の形成ピンチで拡大できます 国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科、肝胆膵外科 他 編. 最先端治療 胆道がん・膵臓がん. 法研, 2019, p151より改変FGFR2融合遺伝子から合成されたFGFR2融合タンパクは、細胞膜上に発現すると、リガンド非依存的に二量体化します。これにより、FGFRシグナル伝達経路が活性化され、癌細胞の成長や増殖が促進されます。日本人胆管癌におけるFGFR2融合遺伝子の発現状況日本では、胆管癌を有する日本人患者102例(肝内胆管癌66例、肝外胆管癌36例)について遺伝子異常が調査され、肝内胆管癌患者の13.6%(9/66例)にFGFR2融合遺伝子が認められたことが報告されています。 ピンチで拡大できます 肝内胆管癌及び肝外胆管癌におけるFGFR2融合遺伝子、KRAS遺伝子変異及びBRAF遺伝子変異について、それぞれ赤、緑、青で示した。【対象・方法】全トランスクリプトームシーケンスを受けた8例を含む日本人胆管癌患者から得た腫瘍組織標本102検体(肝内胆管癌66検体及び肝外胆管癌36検体)についてRT-PCR及びサンガーシーケンス解析を行い、FGFR2融合遺伝子の陽性率を検出した。Arai Y, et al. Hepatology. 2014; 59(4): 1427-1434.多施設共同前向き観察研究 PRELUDE試験日本人胆道癌患者を対象とした多施設共同前向き観察研究であるPRELUDE試験では、肝内胆管癌患者の7.4% (20/272例)、肝門部領域胆管癌の3.6%(3/83例)にFGFR2遺伝子の再構成が認められたことが報告されています。■試験概要目的胆道癌患者におけるFGFR2遺伝子の再構成検出率、臨床病理学的特性を分析する対象進行性又は再発胆道癌患者445例選択基準1. 肝内胆管癌、肝門部領域胆管癌、遠位胆管癌、胆嚢癌、乳頭部癌を含む胆道癌2. 組織学的に腺癌又は腺扁平上皮癌が確認されている3. 化学療法を予定している又は化学療法を受けた患者方法多施設共同前向き観察研究(国内20施設)。2014年3月から2016年2月に登録された209例、2016年10月から2018年11月に登録された236例(計445例)のうち、423例(肝内胆管癌272例、肝門部領域胆管癌83例、その他の胆道癌68例)のホルマリン固定された手術又は生検による検体のパラフィン包埋腫瘍サンプルをFISH(蛍光in situ ハイブリダイゼーション)で分析し、FGFR2遺伝子の再構成を検出した。FISH陽性、陰性のいずれもターゲットRNAシーケンスを実施した。評価項目胆道癌患者におけるFGFR2遺伝子の再構成検出率解析計画FGFR2遺伝子の再構成と人口学的特性との相関はFisherの直接検定及びロジスティック回帰分析を用いた。 検定は両側とし、p<0.05を統計学的に有意とした。■患者背景 n(%)性別男性280(66)女性143(34)年齢(歳)>65191(45)≦65232(55)使用された腫瘍検体切除152(36)生検271(64)ステージ転移221(52)切除後の再発108(26)局所進行94(22) n(%)分類低分化腺癌75 (18)中分化型/高分化型166 (39)不明182 (43)原発巣肝内胆管癌272 (64)肝外胆管癌肝門部領域胆管癌83 (20)遠位胆管癌20 (5)胆嚢癌43 (10)乳頭部癌5 (1)■FGFR2遺伝子の再構成検出率横にスワイプで閲覧できます全体, n445FISHの結果が得られた患者423FISHによる FGFR2遺伝子の再構成検出結果FISH陽性FISH陰性合計肝内胆管癌21251272肝門部領域胆管癌47983FISH+ターゲットRNAシーケンスによるFGFR2遺伝子の再構成検出結果FGFR2遺伝子の再構成陽性FGFR2遺伝子の再構成陰性合計肝内胆管癌20(7.4%)252272肝門部領域胆管癌3(3.6%)8083その他の胆道癌は、遠位胆管癌20例、胆嚢癌43例、乳頭部癌5例で、いずれもFGFR2遺伝子の再構成陰性であった。Maruki Y, et al. J Gastroenterol.2021; 56(3): 250–260.治療と機序製品基本情報はこちら→